via. 「Flashback: Simon and Garfunkel's Lost 1970 Song 'Cuba Si, Nixon No'」(Rolling Stone) はてなブックマーク - Flashback: Simon and Garfunkel's Lost 1970 Song 'Cuba Si, Nixon No' | Rolling Stone。詳細はそちらでどうぞ。

たしかに、このアレンジのままでは『明日に架ける橋』に収録されなくて良かったというような話に落ち着いちゃうのだろうけれど、一方でアルバムに収録されるとなれば見違えるようなアレンジが施されていたであろうことは、ときおり再版されるアルバムのボーナス・トラックとして登場する他の作品のデモ音源と完成作とを比べてみれば容易に想像されること。で、アルバム未収録曲のライブ音源となると、デモ同様そういうとこいらへんに妄想をめぐらしながら聴くことになって来ちゃうんだなぁ。

アーチストによってデモと完成作の懸隔にはいろんなヴァリエーションがあるだろうけれど、ボーナス・トラックの類から聴こえて来る限りでは Paul Simonの場合、その隔たりはデカいように感じる。たとえば、

を聞いてみればこのことはよくわかる。『Bookends』のA面、「Bookends Theme」のギター一本のシンプルな演奏の直後に突然デカい音で登場するアレがコレである。ギターのキレはさておき、あとは今時の素人宅録のほうが気の利いた演奏になるんぢゃないかとの疑いを禁じ得ないって感じがするでしょ?

ソレがこういう具合に仕上がるというのがデモと完成作との懸隔の面白いところ。「The Sound of Silence」の織り込み方もさることながら、バックのコーラスなんてよくもまぁこんなアレンジを、というものぢゃないかしら。細かなサウンド・エフェクトもそうだし、録音のバランスもおもしろいし……。歌そのものとは別に録音ブツとしては興味深いものになっていると思う。

もちろん、冒頭の演奏はデモ・テープのものではなくて大学でのライブだけれど、Simon and Garfunkel なり Paul Simonなりのライブとアルバムの録音との懸隔となると、これまたモノによってはデモとの懸隔以上のものがあるわけで、完成作の仕上がり具合をアレコレ妄想する妨げになるようなことはない。「はてなブックマーク - Flashback: Simon and Garfunkel's Lost 1970 Song 'Cuba Si, Nixon No' | Rolling Stone」を見ていたら《まあアルバム「明日に架ける橋」には合わなかっただろうね》とのご意見もあったのだけれど、上の通りのそんなこんなで、音の部分だけ耳にしての判断だとすれば早計なんぢゃないかと思うなぁ。

合う合わないが問題となるとするなら、やっぱり歌詞の、「Nixon No」とストレートに云い切っちゃうようなあたりになってくるんぢゃないだろうか。違うかなぁ、うーん。


ちょっと気になったのは、記事の以下のくだり

……The light-hearted take on Cuba's political situation was written during the Bridge Over Troubled Water sessions and was supposed to be the 12th song on the album. "Artie didn't want to do it," Simon told Rolling Stone in 1972. "We even cut the track for it. Artie wouldn't sing on it. And Artie wanted to do a Bach chorale thing, which I didn't want to do. We were fightin' over which was gonna be the twelfth song, and then I said, 'Fuck it, put it out with 11 songs, if that's the way it is.' We were at the end of our energies over that."

強調引用者

となると、どうしたって連想は「American Tune」に飛ぶことになる。Garfunkelとの当時の議論がきっかけになって作られたのか、すでに祖形となるような歌があったのかはわかんないけれど、そういうモヤモヤしたあたり、どうなんだろう。考えたって何がどうってほどのことではないのだけれど。


「アメリカの歌」といえば、たまたまなのだけれど、ミステリー作家のジェフリー・ディーヴァー[ググる!]がつい先日のウォール・ストリート・ジャーナルに「Novelist Jeffery Deaver on Paul Simon」(WSJ) はてなブックマーク - Novelist Jeffery Deaver on Paul Simon - WSJという記事を寄せている。若い頃シンガー・ソングライターを志していたのだけれど、Paul Simonのライブで「American Tune」に出会って断念、歌を書くことをやめて文学を志すことになったという、可憐な青春記。

それにしても、

The lyrics were like a folk-song version of “Huckleberry Finn.” Their view of the American experience was subtle, oblique and perfectly formed to match the music: “I don’t know a soul who’s not been battered / I don’t have a friend who feels at ease / I don’t know a dream that’s not been shattered / Or driven to its knees.”

あの歌をハックルベリー・フィンと受け止めるとは、マーク・トウェインもびっくりぢゃないのかしら。うーん。

What was so troubling was the collective power of what Simon had done. The music wasn’t entirely original—it’s based on a Bach chorale that was varied somewhat. But how he brought it all together—the music, the lyrics and the tenderness of his voice—was pure magic.

というのは、まったくもって仰せの通りだと思いますけれど。

記事に貼り付けてある「American Tune」はアルバム収録のヤツみたいなので、以下にディーヴァーが耳にしたライブのと同時期の Paul Simon の歌を挙げておく。

元々は誰だかの世俗曲だか民謡だかだったのをバッハが「マタイ受難曲」に採ったヤツ、Paul Simon によってポピュラー・ソングに作り直されたわけだから、歌の還俗でございますね(違。


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