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最終更新日時 : 2017-12-31 23:04:01  

ホロコーストを生き延びたヒトの映像と語りを使った「ヴァーチャル・リアリティ」による歴史の語り継ぎ。本来的な「ヴァーチャル・リアリティ」と呼べるのかどうかはちょっとよくわからない*1。けれど、この報道を目にするかぎりでは、まるで任意の質問に応じて答えているかのように見えるというのがスゴいな。こういうの、たとえばひめゆり学徒隊の証言員さんたちにも用いられないだろうか*2、あるいは広島・長崎の被爆者さんたち、あるいは……。さらにAIと連動させて、記録されていない答えも、この人物ならこう答えるであろうと思われる言葉を返すようにすることだって、たぶん遠くない将来可能になるだろう*3。そうなっちゃうと歴史を語り継ぐことになるのかどうか。信憑性を考えると、現状あたりにとどめておくのが語り継ぐ目的には最適だということになるのかもしれない。

周知のとおり、メッセージの内容もさることながらどのようなメディアを通してメッセージが伝えられるかによってもヒトの心の動かされ方は大きく異なる。見る側の語りかけに反応して返ってくる表情・しぐさ・声の抑揚のすべてとなると、心を動かす力は良くも悪くも書き言葉や通常の映像ドキュメンタリーを大きく上回る可能性があるに違いない。歴史を語り伝えるという場面で、こうしたやり方が採られるというのはいろいろ考えさせられるところがある。

これは昨年5月に国連のチャンネルが公開したヴィデオ。たとえば、難民キャンプの様子を簡易なVRで経験するだけでも、意識の持ち方が大きく変わってくるというようなことらしい。歴史だけではなく現在只今のことであっても、視覚を中心とした広義のヴァーチャル・リアリティは力を持つわけだ。

裏を返せば、ヒトの想像力といったものはたいていの場合さほどスゴいものだとはいえず、むしろ、その力がいかんなく発揮されることは例外的であるということなのかもしれない。自分と離れたところ、懸け離れた環境で暮らすヒトたちへの支援の必要を感じ取る力としては頼りないものなのだ。そういう頼りなさを補う手段として広義のヴァーチャル・リアリティが有効だというのならば、それはヒトにとって一つの救いみたいなものかもしれない。

少し前の報道になるけれど、

と、それぞれ10月、12月初めのニュースから。いずれもVRがヒトの心に一層深く大きな影響を与える性格を明らかにしているものだろう*4

上のように善用されるなら結構なことだけれど、苦痛への固執を促したり不安を煽ったりするような使い方も出来はしないだろうか。というか、いろいろ悪用のアイディアは比較的簡単に思いつく*5。あるいは、熾烈な環境の中で生きるヒトたちへのエンパシーをもたらす力があるとすれば、逆に特定のヒトたちへの憎悪を煽るような力として利用することも出来るだろう。もちろん、そうした体験を欲しがるヒトは滅多にいるわけはないに違いない。けれど、そういうものを、たとえばVRゲームの要所要所に仕掛けることだって出来ないわけではないだろう。金と力があれば、そういうゲームを大規模宣伝などカマしてベストセラーに仕立て上げることだって出来るかもしれない。残念なことにそうしたことをしでかしそうな人物は、少数いただけでも充分影響力を発揮するものだ。そうなると……というようなことは考えておいてバチの当たるものでもないだろう。

というかまぁ悪巧みのアイディアが次から次に頭に湧いて来るもんだから、どうにも自分の人格が信じられなくなって来て困っちゃうのがVR第1の問題点ですね\(^o^)/


最近のVR本はどれもこれもビジネス絡みって感じがしちゃう。それはそれで大切な事の一面ではある。でも、どれもこれもというのではなぁ。というわけで、

ヴァーチャルという思想―力と惑わし
フィリップ ケオー
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かなぁ、ここでお薦めするとすれば。1997年刊行だから、いろいろ古びた話題も登場するし、用いられる議論の枠組みも近代哲学っぽいものだから飽き足らないってヒトもひょっとするといらっしゃるかもしれない。とはいえ、ヒトとVRの関係の簡便な概観を得るには都合がいいんぢゃないだろうか。今や版が絶えたおかげでマケプレものが安く手に入るしぃ^^;


  • 注1 ここんところの世間様での「ヴァーチャル・リアリティ」の用いられ方って、ずいぶんルーズになったような気がしません? YouTubeに公開された360°モノのヴィデオまで「VR」と題されていたりするの、抵抗を覚えるのだけれど。単にこっちが爺ぃになったからってだけかしら。まぁそうかもなぁ\(^o^)/
  • 注2cf. 「ひめゆり資料館、元学徒隊の館内講話を来年3月終了へ」(琉球新報)hatebu
  • 注3cf. 「本日の備忘録/降霊術2.0」hatebuの、とくに後半。
  • 注4 他にも、心身の苦痛の改善や認知症の改善等にVRの力を用いようとする試みは多数あるみたい。手っ取り早いところ、YouTubeで、VR、virtual reality、dementia、patients、pain、cureとかとかの単語を適当に組み合わせて検索してみるといい。
  • 注5 書きませんけれど。


最終更新日時 : 2017-12-31 16:59:39  

と5年ほど前に書いたのだけれど*1、やっぱりコレ、当たってたんぢゃないかと思うと憂鬱になる。

そこいらへん、いろいろなところで確認可能なのだけれど、だれの目にもあからさまにわかってしまう形となったのが、「安倍首相、訪日の韓国政治家を『椅子』で格下げ?」(中央日報)hatebuだろう。

安倍晋三首相が韓国など海外政治家に会う時に低い椅子に座らせ、相手の格を下げようとしているという疑惑が韓国の政界で広まっている。14日に野党・自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表が安倍首相と会った際、低い椅子に座っている写真が論議を呼んだからだ。同じ日、アントニオ・グテーレス国連事務総長は安倍首相の椅子と同じ高さの椅子に座って対話をした。

相手は韓国政治家さんに限ってはおらず、といって相手を問わず自分の椅子を高くしているわけでもなく、なるほどそういう上下を想定しているのかというあたり、あからさまに伺えてしまう変え方になっているさまは、かなり重篤な危うさを感じさせるもの。

とお感じになるのも当然だと云わなければならない。

そういう形でしか相手に臨めないことを、国会答弁のありさまを思い浮かべつつ考えるとき、彼が外交のクリティカルな場面でどのような言葉の遣り取りを展開しているのか、大いに不安になってくる。さぞかしお付のお役人さんもご苦労様なんぢゃないか……。揉めているかもしれないあたり、テケトーにいなすかごまかすかするためにバラマキも必要不可欠というような具合でなければいいのだけれど。



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使ったことはないのだけれど、これならホイホイ覚えられますかね? ついでにサンフランシスコ講和条約カルタなどあれば、お送りしたいものですが。


  • 注1 どういう折にだかはおわかりになります?


最終更新日時 : 2017-12-22 10:56:05  

こういうことにブツクサ申し上げたところでさしたる共感も得られないだろう、というか当事者さんからは嫌われるに違いないし、そうでないギャラリーさんからはせいぜい小バカにされるのがオチだというのは重々承知なのだけれど、それでもやっぱり蟠らないわけにはいかないのが「甲子園」という単語のパンデミックぶりだ。

爺的な目で見ていると、「甲子園」の感染が本格化しだしたのは今世紀に入ってからであるように思える*1。網羅的にカウントしたわけではないからいい加減な印象に過ぎないが、前世紀においては使われたとしても明らかな喩としてであって、正式名称やその略称・通称の類として用いられることは極めて稀だったんぢゃないだろうか。

以下に、ここ2年くらいの間に何となく目についてtweetしちゃったヤツからテケトーに選んだ「甲子園」を挙げてみる。

  • 科学の甲子園[ググる!]

    こちらには科学の甲子園ジュニア[ググる!]という中学生部門もあったりする。中学生まで「甲子園」かい。

  • エコノミクス甲子園[ググる!]

    金融経済クイズに勝ち抜く大会ということみたいだ。

  • 俳句甲子園[ググる!]

    同じ名称で呼ばれることのある大会は過去も含めて複数あるようだが、現在一番有名なのは、「全国高校俳句選手権大会(略称:俳句甲子園)」*2。略称になると正式名称にはなかったはずの「甲子園」がどこからともなく現れるのが謎である。ただし、現在のオフィシャルページを見ると略称しか用いられていないように見える。ひょっとしたら、正式名称は廃されて略称のほうが新しい正式名称になっちゃったのかしら。

  • 短歌甲子園[ググる!]

    俳句もあれば短歌もある。正式名称は「全国高校生短歌大会」。「短歌甲子園」は通称とのこと。略称の場合ほど不自然とは云わないけれど、「甲子園」がどこからともなく涌いて来る謎は否定出来ない。これは盛岡市が主催している大会だが、他にも日向市などが主催する「牧水・短歌甲子園[ググる!]」というものもあるらしい。

  • 書道パフォーマンス甲子園[ググる!]

    「甲子園」だけではなくて「パフォーマンス」付き。以前には「書道ガールズ甲子園」との名称だったとかなんとか。

  • 写真甲子園[ググる!]

    これ、映画にまでなっているhatebu。正式名称「全国高等学校写真選手権大会」で、略称が「写真甲子園」「写甲」なのだそうな。これも略すと「甲子園」がどこからともなく涌いて来るパタン。「全国高等学校写真選手権大会 『写真甲子園』 オフィシャルサイト/全国高等学校写真選手権大会『写真甲子園』のオフィシャルサイトです -」hatebuと、オフィシャルサイトのタイトルもなが~い。最後の半角ダッシュが謎である。URLは《http://syakou.jp/》。「全国高等学校写真選手権大会」はあんまりプッシュされていないのかしら。

  • 花の甲子園[ググる!]

    競うのは高校生だが、池坊いけばな限定。

  • まんが甲子園[ググる!]

    今では海外からの参加者も優秀な成績を修めているのに、それでも「甲子園」。

  • スモウルビー甲子園[ググる!]

    一般人にはパッと見何の大会なのか見当がつかないんぢゃないかしら。Rubyで作られたScratchみたいなヤツでプログラムしたキャラクタでゲームの成績を競うということみたい。というわけで松江で大会が開かれる。

  • そば打ち甲子園[ググる!]

    正式名称「全国高校生そば打ち選手権大会」で、「そば打ち甲子園」は通称とのこと。略称ではないがどこからともなく「甲子園」が涌いて来るパタン。

  • 数学甲子園[ググる!]

    正式名称「全国数学選手権大会」らしいのだが、オフィシャルページのトップhatebuでは、扱いは「数学甲子園」と比べて小さく少ない。

  • ガーデニング甲子園[ググる!]

    正式名称「北海道農業高校生ガーデニングコンテスト」。「ガーデニング甲子園」は通称なのだそうな。全国区の大会でなくても「甲子園」が名称の類に用いられるケースはあるみたい。

  • 鍵かけ甲子園[ググる!]

    島根県の高校限定ということらしいのだが、「鍵かけ甲子園」(毎日新聞)hatebuみたいな謎ページもあって、詳細はよくわからない。自転車に対する施錠への学校ぐるみの取り組みを評価するみたいなヤツで、特定の会場に集まって何か競技するというようなものではないみたい。「甲子園」概念はますます拡大拡散しているということだろうか。

  • フラガールズ甲子園[ググる!]

    今回取り上げたものの中では、本家「甲子園」には及ばないものの、知名度はかなり高いんぢゃないかしら。正式名称は「文部科学大臣杯 全国高等学校フラ競技大会」というらしい。「ガールズ」という以上男子高校生は参加出来ないのだろうか。

  • 手話パフォーマンス甲子園[ググる!]

    単に手話のうまさを競うのではなくて、手話を用いたパフォーマンスの表現力を競う大会なのだそうな。

  • はんが甲子園[ググる!]

    正式名称「全国高等学校版画選手権大会」だが、「はんが甲子園」hatebuと、オフィシャル・サイトの titleには通称なんだか略称なんだかのほうが用いられている。

  • うまいもん甲子園[ググる!]

    正式名称は「ご当地!絶品うまいもん甲子園」。高校生がご当地食材を活かしたうまいもんを考案、一般投票や審査を通過すれば商品化? みたいなことらしい。ご当地グルメ甲子園[ググる!]という言葉もネットには転がっているのだけれど、同じ「甲子園」のことなのかな?

  • 全国学校給食甲子園[ググる!]

    競うのは高校生どころか子どもたちですらない。

  • 速読甲子園[ググる!]

    日本速脳速読協会認定教室の速読受講生限定。小学生から社会人まで。

  • 建築職人甲子園[ググる!]

    「甲子園」大会の中でも実際に現場で働くヒトたちが参加するというだけなら「学校給食甲子園」もありはするけれど、これは学校との直接的な関係もないんぢゃないかな。

  • マスターズ甲子園[ググる!]

    これは本家「甲子園」球児だったヒトたちの大会なのだそうな。

  • 居酒屋甲子園[ググる!]

    「クローズアップ現代」絡みでいつぞや炎上騒ぎを起こしたヤツですね。現場のヒト系「甲子園」。

  • 全国ふるさと甲子園[ググる!]

    もう名前を見ただけではなんのことやら。

  • 甲子園の名がつく高校生大会一覧 - Wikipedia

    まずその数多さに驚く。さらに過半が今世紀になって生まれたことにも。一方で「全国高等学校ラグビーフットボール大会」のように伝統がありながらも「ラグビーの甲子園」と呼ばれるものがあることにもびっくり。そんな呼び方は身近に聞いたことがない。ホントなら「花園」に自尊心を持てよぉ、とついつい門外漢も余計な口出しをしたくなるぢゃないか。うー。

繰り返すが、これは網羅的なリストではない。世間に広い関心の目を向けてなどいない爺の狭窄化した視野についうっかり入っちゃったヤツ、謂わば井の中の蛙の頭上に見えた飛行機みたいなもの、たぶん視野の外にはこれに倍するどころではない数の「甲子園」が存在していることは疑いないに違いない。

リストを作っただけで、もういい加減このエントリを綴り続けるのが面倒臭くなっちゃったので、後は簡潔に済まそう。

まず、自分たちがやっていることに対する自負が足りないってふうに感じられるところが厭だ。なんとなく「東洋のベニス」と然々の土地を呼ぶ場合、大抵のヒトは、あぁその場所はベニスの素晴らしさには及ばないってことだなと判断するだろう。

要するに、「なんとかの甲子園」という呼称は自分たちの仕出かしていることが甲子園さま、高校野球さまには到底及ぶものではございません、と、まぁ少なくとも人気をとってみればそうであるには違いないこと、今さら言うまでもなくたいがいの日本人なら知っているところのことをダメ押しして自ら名乗るという、謙虚具合に念を入れ手間をかけている卑しい慇懃が気に喰わない。

実際の気分としては、「甲子園」という名称が築いてきたポピュラリティにあやかって、多くの場合新参者である自分たちをヒトビトに手っ取り早く売り込みたいというようなところなのだろう。でもなぁ、人気向上の手段はもちっと選んだほうがいいんぢゃないか。甲子園がネームヴァリューを獲得するのにかけた手間暇を、自分たちのところでは節約してしまおうというのはどんなものなのか。

また、どんな思惑からのことにせよ「甲子園」の名で自らをアイデンティファイしていると、ただの呼び名に過ぎなかったはずのものに自分たちが影響を受け変質するということだって警戒しなきゃいけないんぢゃないか。「甲子園」を名乗ってしまったがゆえに、本来は個人が主体となって作品作りに臨むべきところ、無理矢理のチーム競技として大会を成立させてしまったというようなことはないのか。高校生のアレコレだと個人賞が別途設けられていたとしても、主として学校単位で優勝なり準優勝なりが語られるメインとなりがちなのが気になりもする。血と汗と涙(と、今なら「絆」もついてくるか)の物語にまみれて、本来作品を生み出す核心にあるべきものから目を逸らす結果が生まれていないか。

たとえば、この映画の予告編hatebuを見ていると、やたらと走るシーンが目につく。もちろん、光のタイミングのように刻限が作品の仕上がりを大きく左右することがあり、また一方で大会のルール、日々の締め切りの都合もありはするのだろう。けれど、しばしば映画作品のエッセンスを抽出したところに成立している予告編においてこれだけ走り回るとなると、もし続篇の製作されるような折があるとすれば、ヘッドスライディングの一つや二つ、うっかり登場しかねないんぢゃないか。しかし、もし「全国高等学校写真選手権大会」の「略称」に「甲子園」の三文字がなければ、果たしてこれほど俳優さんたちが走り回らねばならぬ羽目に陥っていたかどうか。映画がどれほど大会の実際を反映しているかは知らない。けれど、大会のイメージを反映していないとはいえないだろう。ヒトビトが抱くイメージは、遠からず大会の実際に響いてゆくことになるんぢゃないか。仮に映画が現在の選手権大会の実態から懸け離れていたとしても、将来の大会の様子を予言していないとは限らないということだ。

しかしそれにしてもどういうことだろう、「甲子園の名がつく高校生大会一覧」(Wikipedia)を見るかぎり、それ以前と比べての今世紀に入ってからの「甲子園」の増加ぶりは。仮に「甲子園」という呼称の背景にある心理のありようみたいなものについての上記のうだうだが当たっているとして、そういう気分が社会に広く行き渡っているとするなら、何にしてもなかなかアレだな、と思わざるをえない。アレの中身はいろいろに考えられなくもないが、なんだかもう面倒臭い上に憂鬱になってきたので、本エントリではこれを省く。

おしまい。


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写真ばかりぢゃなかった。こちらも映画になっていたのだった\(^o^)/。レヴューを見ていると《俳句の十七音の世界にスポコンの要素を取り入れ、なおかつ一流の青春映画に作り上げた荻上監督の手腕はすばらしい》というような評言も出て来る。やっぱりヤバいんぢゃないか。うー。

なお、『写真甲子園 0.5秒の夏』のほう、Amazonで見るかぎり小説が書籍として刊行されているものの、DVDなどにはまだなっていないみたいだ。


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Kindle版もある。



  

ホントですかね。

公開は11月8日だから、出遅れもいいところなのだけれど、話を知ったのが11月28日の「東北大学とネスレが「コーヒーの香りが人の行動にもたらす効果を調査する実験」を実施しました | 受賞・成果等」(東北大学)hatebuでだったんだから、まぁ仕方ありませんね。

しかし、そもそも、これ、本当に実験の際の映像なのだろうか。

困っているのを見ていながら手を貸さずに通り過ぎるヒトの顔まではっきりわかる映像になっているあたり、リアリティーショー紛いの造りだというより、実験結果に合わせて映像を構成してみました、みたいな具合に見えてくる。「コーヒーの香りによる行動変容の実験」と画面右上に表示した上での映像だから、まさかそんなわけはないと信じてみたいところだけれど、果たしてどうか。1分直前あたりから登場するニイちゃんの視線、1分4~5秒目あたりでカメラ目線になる瞬間があるように見えたりするんだけれど。

というようなことはさておき、これが本当ならば、コーヒーの香りを街中に始終流しっ放しにしておくことも環境向上のために有益だということになるのだろうか。

なお、今回の実験に参画した東北大学大学院文学研究科の坂井信之教授は、今回の実験結果から「コーヒーの香りが人の行動にもたらす効果」について、以下のように考察しています。

「今回の実験は、香りと人の親切行動の関係を心理学的に調査した事例となりますが、ここまで明確な差が出るとは思いませんでした。今回の実験結果は、統計学的にも有意な差がみられ、このような差が偶然に生じる確率は 1%未満なので、とても興味深い結果だと言えます。コーヒーの香りが、嗅いでいる人をよい気分にさせ、その結果、他人に親切な行動を取らせるように働いたのではないかと考えられます。私たちが実施した別の実験でも、アロマセラピーに使われる香りよりも、コーヒーの香りの方がストレスをより早く減少させることがわかっています。」

「ネスレと東北大学が“コーヒーの香りと人間の行動変容”に関する日本初の実験を実施 コーヒーの香りによって、困っている人を助ける人の割合が約3倍に増加」(ネスレ日本株式会社)hatebu

ストレスが軽減され善意が行動に現れるようになれば、人口密集地でのヒトとヒトとのぶつかり合いもずっと軽減されるようになるはずだし、混み合った道路に香りを流せば煽りをかける車もなくなるはず。暴力団事務所前でも並んだ警察車両から絶えずコーヒーの香りが流すことになれば組間抗争も激減する。やがて、こうした効果は世界的に知られるようになり、民族・宗教その他アレコレの紛争地域にはコーヒー空爆が行われるようになる。世界がむやみにコーヒー臭くなった暁には、恒久平和がとうとううっかり実現しちゃうというわけですね。

という具合に事が進むかどうかといえば、進まないに決っている。慢性的な睡眠不足で絶えずインスタント・コーヒー(ネスレ日本株式会社の製品だ)をガブガブと飲み続けている我輩など、自室はもちろん手洗いにおいてまでコーヒーの香りに囲まれて暮らしているわけだが、もし上記の実験結果と仮説が正しければずいぶん以前から日々穏やかな慈善の心で世界が眺められて良さそうなところ、ついついこうやって懐疑猜疑に凝り固まった捻くれ者の目でモノゴトを眺めてしまう。これは少なくとも個人的にはかなり重篤な反例であると云わなければならない。

いやいやそいつぁ「ネスカフェ ゴールドブレンド THANKS COFFEE」hatebuのページタイトルを見ればわかるとおり、ネスレ製品でも実はGOLDBLEND限定の効果であって、安物のEXCELLAばかり飲んでいるような輩に及ぶ効果など存在しないというだけのことなんだろうか\(^o^)/


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最終更新日時 : 2017-11-30 23:51:51  

これ、アイディアとしてはいいよね。堺市でも導入されたりしないかしら。

「本日の重要問題/堺の公衆トイレ」hatebuで取り上げたように、少なくとも東京と比べる限り、堺は公衆トイレが少ない。もし観光を市の重要な産業とするなら、これ、結構小さくない障害になって来るんぢゃないかと思うんだけれど、どうなんだろう。といって、これから公衆トイレを増やそうったって用地確保一つとっても滅茶苦茶大変であるに違いない。そういうことを考えると、ブレーメンのこれ、堺にだって好都合なやり方だといえるんぢゃないかしらね。

もちろん、堺全体にこれが有効かどうかはわからない。市街地では有効かもしれないけれど、そうぢゃない地域ではそうもいかないかもしれない。ヴィデオ中に登場する不満だって、ところによっては無視し難い問題になる可能性もある。たとえば、注射針の話となると「本日の埋草/注射針」hatebuのことをどうしたって思い出さないわけにはいかない。百貨店となるとたしかにいろんなヒトがやって来る。現にやって来るところでそういうことが起こっているとすれば、他の店舗でトイレの利用が広がれば同じ問題が生じることだって充分に考えられるわけだ。

けれど、そういう面倒は予想されるもののやりようでマシな対応は採れるはず。当初は限られた地域、たとえば大小路界隈限定で実施してみて具体的にどんな問題が生じるのか、参加店舗にもたらされる利害得失にはどんなものがあるのか、支援には何が必要なのか……そういうあたりを探って、徐々に地域を広げてゆくことを考えればいい。たとえば、もし注射針問題が頻発するようであれば、店の出入り口に防犯カメラを設けるとか。少なくとも公衆トイレの拡充よりは素早く手堅い問題解決につながりそうに、僕みたいな素人には見えちゃうのだけれど、どうかしら。


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